◆ヤマト運輸の問題について
少し程前にヤマト運輸の残業未払い問題に端を発する運送料金値上げが話題となり
ました。取り扱う宅急便の量が莫大に増加し、宅配員の作業負荷が高まっていること
などが挙げられていますが、ヤマトの問題を解決するには、個人宛ての再配送
をいかに少なくするかにかかっています。そのために、宅配ボックスの普及
などの施策が言われていますが、宅配ボックスの普及には、設置場所の検討やメンテナ
ンスなどインフラ的にも、サービス運用の在り方などの面でも整備に時間を要する事に
なります。その一方で、短期間で実現可能で効果が見込めるが、余り議論にあがってい
ない対策が一つあります。
それは、時間指定配送の再配送有料化です。
◆時間指定配送の再配送有料化はサービス低下を招くのか
再配送の有料化と言うと利用者からのクレーム発生を恐れヤマト自体もこの議論を
進めていないのかもしれませんが、そもそも時間指定配送のサービスは、利用者が確実に受け取れる時間を指定してそれに合わ
せて配送するというサービスです。この趣旨からいうと再配送が発生する事自体
がおかしいのです。 では何故時間指定配送の再配送が発生するのか、それはサービス
を利用する利用者側の意識の問題であると言えます。
インターネット通販等で購入し、時間指定配送を利用する際に、「まー水曜日の午前だ
ったら家にいるだろうから大丈夫か」、「1日でも早く届けて欲しいので最短届日の夕
方に指定しとくか」など確実に受け取れない時間を利用者が指定しているのが原因で
す。いずれの場合も、利用者の心理として「どうせ不在だったら再配送してもらえばい
いか」という心理が働いているのです。 ここで時間指定配送の再配送を有料化する事
で、再配送手数料の支払いを嫌がる利用者は確実に受け取れる日時を
指定するようになります。そこに利用者側のデメリットは発生しません。つまり、
時間指定配送の再配送はサービス低下に繋がる事はありません。
◆利用する側の意識改革も必要
時間指定配送の再配送を有料化は事業者側から見ても、再配送に必要なコストを
利用者に負担してもらうため導入するメリットはあるかと思います。ただ、これ程
宅配便問題が大きくなった中で利用者としても、再配送が極力発生しないように、
時間指定配送の場合は、確実に受け取れる時間に指定するといった意識改革が必要
かなと。